悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
冷酷非情な獣とは思えないセリフが胸を打つ。
それだけ言い残して部屋を出ていく彼に、手当てをしてくれたボナさんも温かい眼差しを向けている。
「ラヴィスは変わったよ。前よりもずっと、一国の王に相応しい男になった。それはあんたのおかげなんだねぇ、エスター」
優しい言葉をかけてもらえるほど、自分に価値がある自覚はない。
彼は今でも粛清という名の圧政を強いるときはあるし、王都からの使者には容赦なく厳しい命令をする。
だが、それは諸外国からエピナント国を守るために必要なもので、目を背けてはいけないトラブルの火種に対して悪役を演じ続けているだけなのだ。
慈悲の心を持たない冷酷な獣の圧倒的な力強さと軍の手腕で、国がまとまりつつあるのも事実である。
私は、仮初めの婚約者でいる以上に、あの人のお役に立てているのだろうか。
それからというもの、ベルナルド様は私を自室に呼ばなくなった。
理由は、来週の会談に向けた公務が忙しく、構っている暇がないからだという。