追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「エマ、火傷を手当てしよう。後片付けは、そこの魔族たちがやってくれるよ」

シリルがそう言うと、小さなモフモフたちが器用にビシッと敬礼した。

お腹いっぱいで、機嫌がいいみたいだ。

獣の姿なので不安に思うこともあったけれど、彼らは魔法を使って働くので洗い物などは心配しなくていい。

シリルに促されて食堂をあとにする私たちを、物陰からじっと観察している人物がいることに、私は気がつかなかった。

転移魔法陣でシリルの部屋に飛び、無事に火傷を手当てしてもらう。

少し大げさだと思うけれど、火傷の痕が残らずに済むのはありがたい。

魔王になったというのに、彼は甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくれる。

ふと、椅子に座ったシリルを見ると、熱を孕んだ目で見つめられているのに気づいた。

子供の頃から、こういう表情はたまにしていたけれど……大人になった彼に見つめられるのは落ち着かない。

シリルは細い腕を伸ばして私の頬に触れた。

「エマ、本当に本物のエマだ……まだ信じられないよ。転生してくれてありがとう。愛しているよ」

「お礼なら、フレディオに」

「そうだね、父上にも感謝だ。父上もだけれど、大好きな君がいなくなって、本当に苦しかったんだ」

私も、シリルのことを弟のように大事に思っていて、家族のように愛していた。

「今でも、君がふとした瞬間に消えてしまうのではないかと、少し不安だよ」

「そんな特殊なスキルは持っていません」

「もう二度と君を手放さないから。あんな思いはもうたくさんだ」
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