追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「気にしていませんよ。魔王城に人間がいたら、びっくりしますよね」

「で、でも。俺は食べ物を恵んでくれ、怪我まで治してくれた恩人に対して、酷いことを……」

彼は簡単に許されることに納得がいかない様子。ちょっと頑固そうだものね。

「なら、俺をあなたの舎弟にしてくださいっす!」

テオの尻尾が、ちぎれそうなほどブンブンと勢いよく振られている。ああ、モフりたい……じゃなくて、早く話を断らなくては。

門番の彼の仕事を妨害するようなことがあってはいけない。

しかし、私が口を開くよりも早く、第三者の声が割り込んだ。

「なら、異動届を出しておこう」

颯爽と現れたのは、魔王用の仕事服に身を包むシリルだ。

「へ、陛下!?」

テオを含めた魔族全員の声が裏返る。

「ちょうど、僕がいない間、エマの護衛を任せられる人物を探していたから。エマも食堂に人手が欲しいと言っていたし、下級魔族だけでは不便な面もあるだろう」

シリルは落ち着いた声音で場を仕切る。こういうところは、魔王らしく見えた。

「エマ、それでいい?」

「人手が増えるのは助かります。テオがそれでいいのなら」

「なら、決まりだね。本当は僕がずっと傍にいたいのだけれど」

「シリルは仕事をしてください」
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