追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
私も、シリルの隣に座る。

お試し恋人中だからか、皆が気を遣って椅子を空けてくれたのだ。

「いただきます」

ナイフでハンバーグを切れば、ジューシーな透明の肉汁が溢れてくる。

それにルビー色に光る赤ワインソースを絡めて口元に運べば、二つが混じり合ってえもいわれぬハーモニーを奏でた。

「んんっ! 最高ですぞ! ぜひ、ソースのレシピもくだされぇっ!」

ハンバーグを頬張りながら、料理長も目を輝かせている。

「シリル、どうかな」

「おいしいね。エマの料理を食べると、いつもホッとする」

シリルが嬉しそうに微笑んでくれるのを見て、ハンバーグを作って良かったと思った。

「エマ、口元にソースが」

そう言って、人差し指で私の唇を拭い、ペロリと舐めとる。色っぽい仕草だった。

「シリル、恥ずかしいです」

「んー? なぁに? 僕を意識してくれているってことかな?」

「えっ、違っ……! そんなんじゃないです!」

必死に反論すればするほど、相手を意識しているように見えてしまう。

ニヤニヤしだした魔王を、誰も止めてくれない。それどころか皆、シリルを応援しているそぶりだ。私の味方はいないようだった。

「魔王陛下、俺、聖女様との仲を応援するっす! 百年越しの恋なんて素敵っすからね!」

「愛とは素晴らしいものですな! 料理人一同も全力で応援しますぞ!」

「ワンワン! クゥーン!」

「ニャーォ! ニャーォ!」

「ブヒブヒ、フゴッ!」

「ピー! ホケキョ!」

モフモフたちまで、一緒になってはやし立てて、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。そして最後の小鳥っぽい子、君、ウグイスだったの!?

こちらの世界にも、ウグイスらしき生物がいたなんて驚きだ。

この場にいないアルフィも、シリルの味方みたいだし、魔王のストッパーがいない……
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