追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「そういえば、アルフィはまだキーラン国なの?」

「そうだよ。僕と一緒で向こうとこっちを行き来しているけれど、基本的に向こうにいることが多いね。王位に就けた第三王子と仲良くやっているみたい。彼は魔族への偏見がなくて友好的なんだ」

「キーランにも、そういう人がいたんですねえ」

「大半は魔族を恐ろしがっているけどね……でも、彼らにとっては、前の王族とどっちがマシなのかの方が重要みたい。魔族であっても、自分たちが過ごしやすくしてくれるのなら、構わないという空気だね。魔族を知らない若い世代は、好奇心もあって、かなり友好的だよ」

「二国間の軋轢がなくなるといいですね」

「魔族側の考えも変えていかなきゃならないけどね。むしろ、こっちの方が大変そうだ。エマもこっちへ来た当初、襲われたことがあったでしょう?」

「なるほど、そうでしたね。私に手伝える仕事があればいいのですが」

のんびり好きなことをして暮らすなんて言いつつも、モフィーニアやシリルたちのことが気になって仕方がない。

フレディオは聖女に関係なく平和に暮らして欲しいみたいだったけれど、私はやっぱりモフィーニアやシリルが好きだから。

それに、平和あっての聖女食堂だと思うから。

「だったら、エマ! ぜひ魔王妃になって?」

大変だ、話が元に戻ってしまった!

「いいえ、ですから、それは……」

「僕は諦めないよ。必ずエマに好きになってもらう」

真っ赤な瞳で流し目を送り、隣に座る私の肩を抱き寄せるシリル。彼は、さりげなく耳と尻尾を出して誘惑してくる。はあ、ふわふわの手触りが素晴らしい。

シリルは策士だ。私が銀狐姿に弱いと思って……まあ、事実そうなのだけれど。

――本当に、なんで彼は私なんかが好きなのだろう。
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