私の罪
そうして、深く息をはき、目を開けると彼の方を見た。

「りょう」

「なに、そんな怖い顔して・・・」

「これから真面目な話をするからちゃんと聞いてくれる?」

「うん、なに?」

「あのね、青少年の法律に関することなんだけどね」

「え?」

彼は、わたしから離れて怪訝そうな顔でこっちを見た。

まるで、この人何を言い出すの?という顔である。

「あの、真面目な話だからちゃんと聞いてね。その、法律では未成年に手を出しちゃダメって書い
てあるの。未成年はまだ未熟だから、正常な判断ができないの。そして、そんな未成年に淫行をすると心と体にダメージを与えてしまうの。だから、健全な発育の妨げになるからぜったいやっちゃいけないのよ」

「淫行って?」

「みだらな行為ってこと」

「ふ〜ん・・・」

「わたしは、りょうの心も体も傷つけたくない。だから、必死で止めてるの。だから、言うことを聞いてくれる?」

りょうは黙ったままだった。

「納得してくれたかな?だから、私たちはこれからは何も起こすことなく、健全な関係を築いていこうよ!」

よし、言えた。わたしは、自分で自分自身を褒めたくなった。

未成年の性犯罪が増えてる昨今、理性を強くもって対応してる大人がこの世の中にどれほどいるだろうか。

少なからず心も体も発達した私は、未成年の誘惑にも負けず、理性を持って、正常な判断をくだしてる。

わたしは、えらい!これでこそ、わたしだ!と思った。

けど、そんな思いも彼の一言で打ち砕かれた。

「バレなきゃいいじゃん」
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