私の罪
「え?」

バレなきゃ良い?

バレなければ何をしても許される・・・

なんて、破壊力のある良い言葉なんだろうか。

確かに私は彼を誘惑してない、無理強いもしてない、むしろ想いが通じ合ってる。

なのに、何が悪いんだろうか。

むしろ、彼は私との行為を望んでるじゃないか。

無理にお互い我慢したら逆に体にも心にも毒だよ。

そもそも、法がきびしすぎるじゃないか?

だって、平安時代のときは11歳から元服(大人)扱いしてたじゃないか。
時代と共に法も倫理もコロコロ変わってるのに・・・・。

「さくら?」

黙り込む私を訝しんで、りょうが私に声をかけてきた。

「・・・よね?」

「え?」

「バレなきゃいいんだよね?」

「うん、そうだよ!」

「じゃぁさ、りょう。わたしが今から言うことを忠実に守ってくれる?」

ーーー

カラオケ店を出た後、私達はどこにも寄らずまっすぐ駅に向かって歩いた。

渋谷から乗る人が多いため山手線の中は混雑していた。

りょうは、その人混みを利用して私の手を握ってきた。

私は、それに大人しく応じながら嬉しい気持ちとバレたらどうしようという気持ちが入り混じって
胸がドキドキしていた。

私達は高田馬場駅を降りて西武新宿線に乗り換えた。

「どこで降りるの?」と小声で聞くと「上石神井」と彼は答えた。

急行に乗っているとはいえ、一駅、一駅が長く感じた。
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