私の罪
「え〜だって早くしたい!俺、我慢できないもん」

私は、下ろされた肩紐をまた元の位置まで上げ直した。

私の目は完全に泳いでいた。

私の心臓が警鐘のごとく、けたたましく鼓動し始めた。

「さくら」

そう呼ばれて私はりょうの顔を見た。

「しよ? ね?」

そう上目遣いに可愛く言われて、私は抗えなかった。

そして、この日に私は生まれて初めて法を犯したのだった。
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