私の罪
「本当に、良かった」

そして、運命の日。

警察署からは警視監が来て、今回の事件について協力をした医師も交えて、記者会見をすることになった。事が大きくなりすぎたことで異例の事態となった。

警視監が口を開いた。

「それでは、調査の報告を始めたいと思います。中学二年生の男子、名前は控えてAさんとします。彼は、容疑者の女性と行為を行った次の日に仲の良い友達数人に『昨日、35歳の女性と性行為をした』と自慢げに話されたとのことです。

続きまして、同じ部活の人たちには『今度、35歳の女性と会うから今以上にトレーニングに励まないと』と嬉しそうに言っていたようです。

成績の方ですが、ほとんどの教科は点数が前よりも上がっておりますが、英語だけは成績が悪くなったと担任の先生から聞きました。彼と仲の良い友達に聞いたところ『英語を35歳の女性教師に教えてもらうため、あえてテスト勉強をしなかった』と彼は言っていたそうです。

健康面に関しては至って健康、むしろ以前にもやる気がまして部活や体育などで先生や周りから高い評価を受けていたそうです。

普段の彼ですが、いつもは受け身の性格だったが前よりも明るくなり積極的になったそうです。異性の同級生からは彼がもっと社交的になったので前よりも打ち解けるようになったと喜んでおりました。

以上を踏まえまして、彼が心身ともに健全な毎日を送っているということをここに報告いたします。私の方からは以上です」

すると今度は医師の方が発言した。

「中学二年生の彼Aさんとはカウンセリングを取って話を聞きました。彼女のことについて嫌なことはされてないかと尋ねましたが、そんなことは一度もなかったと言っておりました。
不躾な質問ではありましたが、彼女のことを愛してるか伺ったところ『心から愛してる』と彼は答えました。彼の父親とも話をさせていただきましたが、『片親であるため母親の愛に飢えていたのであろう。息子が幸せならそれ以上、私にその女性を責める権利はない」とおっしゃっておりました。
私は法に関しては深く存じ上げませんが、性医学の観点から見たら身体的にも精神的にも満たされた性行為であったと報告いたします。私からも以上です」

そして、また再び警視監がマイクを持ち上げると「これにて調査による報告は終了といたします。また、今回の件による逮捕は取り下げとしますので何卒よろしくおねがいします」と発言した。

この記者会見の後、日本全国で歓声が沸き起こったという。
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