私の罪
お昼に彼から電話がかかってきた。

「さくら、今話しても大丈夫?」

「うん、大丈夫だよー」

彼は、いつの間にか私のことを呼び捨てにするようになったし、タメ語で話しかけるようになった。

「カラオケなんだけどさ、6/27とかはどう?ちょうど土曜日だし」

「うん、良いよ!」

「じゃぁ、その日で!他にしたいことある?」

「う〜ん・・・。さくらは何したい?」

「私はミラノ風ドリアが食べたい」

「え〜なんで〜」

「だって、あれ安いし美味しいじゃん。あー小エビのカクテルサラダとかミルフィーユも食べたい!」

「え〜せっかくだからもっと良いとこ行こうよ!」

「え〜そう?でも、結構好きなんだけどな〜サイゼ」

「それくらいだったら俺がおごるよ!」

「えぇ!良いよ、悪いよ!中学生に払わせるなんて、そんな・・・」

「いや、それくらい大丈夫だよ!早くさくらに会いたい!」

「うん、私も!早くりょうに会いたい!」

久々に男性とデートするのも楽しみだけど、今まで中学生とデートなんてしたことがなかったので、もっと新鮮味を感じてワクワクした。

「あ〜カラオケのあとゲーセン行きたいかなぁ。行っても良い?」

「さくらが行きたいなら良いよ〜」

「うん、じゃぁ行こう!太鼓の達人で勝負したい!あ、ゴーカートでも良いかな、下手なんだけど」

そんな他愛もない話をしながらデートの計画を立てた。

「じゃぁ、場所は渋谷で良いかな?」

「うん、良いよ」

心なしか電話口から彼が何かを言いたそうなのを感じた。

「どうかした?もしかして、やっぱ行きたくない?無理しなくていいんだよ。やっぱ35歳のおばさんとデートってキツいよね?」

と先手を打って言うと「いや、そうじゃなくて・・・」と彼は何か言いづらそうにしていた。

「どうしたの?」

「あのさ・・・」

「ん?」
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