獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 私が味変を提案すれば、ガブリエル様は嬉々としてミートソースをかける。
「おお! さっぱりした味わいになるな!」
 ガブリエル様と私は、マクシミリアン様の尻尾アタックや、それによって中断された先の会話をコロッと忘れ、目の前の美味しい料理に夢中になった。
 その横でマクシミリアン様が深く息をついていたようだが、食べるのに大忙しの私たちはろくすっぽ気にもしなかった。
「温かい豚汁はいかがかね? 頬っぺたが落っこちる美味さだよ!」
「おいおい、まずはうちの焼き鳥を食わなきゃ一日が始まらん!」
 オムレツ店を出て市場を進んでいると、店主らの景気のいい声と共に、美味しそうな匂いを立てる商品が横から次々と差し出される。
「どちらももらおう」
 ガブリエル様は差し出される商品を端から手に取って、豪快に平らげていく。
 ちなみに、普段の賑わいと活気を体感してもらえるよう、今回の視察に際し商店主らに我々の身分は明かしていない。
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