ささやきはピーカンにこだまして
「わかり…ました」
「わ…かれば、いい」
 (んもう!)
 なんだって、わたしが罪悪感を感じなきゃいけないのよ。
 謝らなきゃいけないようなことをしたのは、この子じゃないの。
 頭をさげられたくらいで、ひるむな、一路(いちろ)
「じゃ、これ、昼トレのメニューです。明日からよろしくお願いします」
「――――へ?」
 あきらめたんじゃないの?
 差しだされたので反射的に受け取ってしまったリポート用紙には、きちんと書道を習ったひとの読みやすい字がびっしり。
 ぱっと見でも文字に見える文面なら読んでしまう。
 数字を追えば2週間、毎日40分をグラフ形式にしたなかに書かれた練習メニューを下へとざっと流し読みしていくうちに言葉をなくしていた。
「なるべく先…ぱいの負担にならないように、考えたつもりですけど」
「…………」
 ことわろうと思っていたのに。
 ぴしゃっと「勝手にしなさい」って言うはずだったのに。
 手のなかのリポート用紙は、(じゅん)の真剣な思いでいっぱいで。
 引きこまれるように、わたしの目はその白い紙の上の文字を追っていた。
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