ささやきはピーカンにこだまして
 翌日。月曜日の朝は雨だった。
 月曜日と雨。
 最悪のコンビのはずなのに。
 なんだか世の中が明るいのは、道行くよその学校の、衣替えであふれだした白いシャツのせい?
 それがますます腹立たしてわたしって。
 雨の日の天パー勢は、髪の毛よりもっと心がねじくれるのよ。
 スーパーハードスプレー1本より強力な形状記憶合金なんだからね。
 とにかく。
 わたしは不機嫌なの!


「じゃね、姉ちゃん」
 二紀(にき)がバスのタラップを飛びおりながら、プッシュ式の傘をバサッと広げた。
 どんなときでも髪は濡らさない。
 ごりっぱな女子力。
「あーあー、元気だね」
「そういう八木(やぎ)は元気ないじゃないか」
「あっ……」
 続いてタラップを降りたわたしに、うしろから傘をさしかけてくれたのは結城先輩。
「先輩もこのバスだったんですか? あ、やだ、すぐ傘、ひらきますから」
「ははは。いいよ。入れてってやる。…ほら、行くぞ」
 ええっっ?
「だめですよぅ。美香キャプテンに怒られる!」
「なんで? かわいい後輩を傘に入れてやったくらいで、怒られないよ」
 ちがいますって。
 わたしが、ですよぅ。
 先輩は女子社会をわかってなーい。
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