ささやきはピーカンにこだまして
「でも練習が週2回っては、言わないほうがいいのかな……」
 令子ちゃんが首を傾げる。
 わたしはそれを勧誘の武器にしちゃったけどな。
「きちんと部活としてとらえてくれる真面目な子…ですもんね」
 おお!
 良い子だ。
 これからいっさい!
 二紀なんかには近づかないでもらいたい。
「ほかの部ももう、お試し入部期間が終わって、この週末には新歓コンパがあるみたいですし……いそがないと」
 うん。
 がんばるよ。
 結城先輩の最後の大会だもの。
 わたしだってやれることはやりたい。
 美香キャプテンに負けたくないとか……。
 そんなのじゃないけど。



 コンコンコン
 礼儀正しくノックをして。
「二紀ちゃーん、入っていい?」
「――――――――どぞ」
 その、遅れたそっけない返事にもう後悔。
 あー、なさけない。
 姉ともあろうものが、弟にこんなに甘い声を出して。
 しかも二紀はもう身構えている。
 二紀ちゃん呼ばわりされて、ろくなことがないのは身に染みてわかってるんだろう。
 そんなにいじめてきたつもりはない…なんて言えないしなぁ。
 (はぁ……)
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