ささやきはピーカンにこだまして
「バド部は、そんなんじゃないもん」
「それは、姉ちゃんに先輩としての威厳がないからっしょ」
 なんだとぉ。
「でも、たらしこむのはうまいじゃない。うちの四条畷 令子、バドに入っちゃったもんね。あの子もばかだよ、ほんと」
 あ。
 しじょうなわて?
 そう読むのか、あれ。
 …って。
 そんなこと言ってる場合じゃない。
「令子ちゃんは、素直で良い子だよ。ばかとか言うな!」
「そういう甘い見解のおひとよしだから、あれこれ押しつけられるんでしょ。自覚ないの?」
「……ぇ……」
 おひとよし?
 だれ? わたし?
「ば…か言わないでよ!」
「どなるなら、もう相手してやんない。じゃね」
 こ…のやろぉおおおお。
 そうやってサッサと教科書に向き直るか、こいつは。
 わたしが、こんなに、こんなに、下出に出てるのに。
「……二紀(にき)。あんたが最後におねしょしたのあれ、いくつのときだっけ」
「…………っ」
 ふふふふ。
 かたまれ、かたまれ。
 そのまま石になってしまえ。
 お姉さまに勝とうなんて、千年早いわ。
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