ささやきはピーカンにこだまして
第2章『Yes! 実取 準』
「こら、メーメ! さっさと整列」
 桃子のやつ、またひとのことを山羊扱いしてえ。
 わたしは八木(やぎ)
 八木 一路(いちろ)ですぅ。
「はい、謹聴、謹聴」
「ひゅーひゅー!」
「桃ちゃん、かっこいい!」
 集まったみんなが、桃子をはやしたてる。
 1年間もいっしょに活動していると、自分の世代のキャプテンはだれか、だいたいみんな暗黙の了解があるけど。
 わたしたちの代は絶対に桃子。
「では、ただいまより、女子バドミントン部2年、5名による、勇者決定戦。うらみっこなしの1本勝負をおこないます」
 いいぞー、桃子ぉ。
「はい、みなさん、覚悟はいいですかぁ」
 いいですよぅ。
 わたし、じゃんけんは自信あるもんね。
 いっせーのっ!
「最初はグー。じゃんけん、ほい!」

 んぎゃぁぁぁっ!

「ひゃっほー!」「いぇ――い!」
 うっそぉぉぉ。
 パー4、グゥ1。
 5人じゃんけんが1回で決まりだなんて。
 そんなことある?
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