ささやきはピーカンにこだまして
 ただ、中高合同の練習がある部は、最初から入部がもう既成事実扱いで。
「おら、バレー部、こっちこーい。集合!」
「はい、野球部は、こっちー。今日手続きしねーやつは、ケツバットな」
 1年間の最下級生奉公を終えた新2年生が、もう先輩風を吹かせている。
 やあね。
「あら、八木。あんたが勧誘? なに部だったっけ?」
 しくしく。
 同級生にすら存在が認知されていないとは。
「やじうま、おことわり。ほら、どいて。ポスター見えないでしょ」
「あら、バドミントン部。そんなのあったんだ」
「…………」
 傷に塩を塗ったわね。
 去っていく後ろ姿に、べろべろべー。
 塩をまく動作をしていたら、となりに座っている男バドの小松が、つんつんとわたしの肘をついた。
「いいなぁ、宮崎さんて漫研だっけ。新入生勧誘ってしないのかな」
「文科系は試合がないからね。人数なんて気にしないでしょ」
「そか。いいよねぇ、文科系……」
「…………」
 これにイライラしないで、なににイライラせよと?
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