声と性癖
「ほら、そうやって、聞いてくれるし。夕焼け、綺麗ですよって写メしたら、お返事とかくれるし。他愛ないことを聞いてくれるでしょ。で、それにお返事までくれるから。」

『結衣さん……。もう、あなたという人は…。』
ふと、気付くと、キーボードの音が止まっている。

お仕事、大丈夫ですか?と聞こうと思ったら、はあっとため息の音が受話器から漏れてくる。
「涼真、さん…?」
『会いたいです…。』

「えっと、私も、ですよ?」
少し、照れくさかったけど、思い切って結衣は言ってみた。
変な人だけれども、蓮根はいつも、正直で、誠実だ。
だから、それに応えたい、と思うのだ。

『次に会ったら、あなたを隅々まで奪いつくしますから、覚悟していて。結衣さんの声も、身体も、心も、…全てを僕のものにしたい…。』
「すごく、どきどきします…。」

『ああ、いいですね。声が色っぽいですよ。結衣さん。堪らない。』
「涼真さんも…です…。そんな声、出されたら…。」

ふっ…と笑った声が耳を掠める。
結衣は、あ…と思った。

多分、いつものあの顔だ。
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