声と性癖
甘く、結衣を見つめて、いつもはキリッとしている目元が、ふ…と緩んで、口角がきゅっと上がる。
目尻に少しだけ皺が寄って…とても、綺麗な笑顔なのだ。

『来週末、楽しみにしています。』
「はい。私も。」
『結衣さん、約束。電話切ったら、写メ、忘れずに送ってください。』

そんな、約束…、ふふっと、結衣は笑ってしまった。

「分かりました。約束、ね。」
『おやすみなさい、結衣さん。』
「お仕事、頑張ってください。」

結衣はあまり、深く考えず、ベッドサイドで写メを撮り、おやすみなさい、とメールアプリに添付して、送った。

それに対しての返事が、
″これで来週まで頑張れるかも知れません。
僕の結衣さん、おやすみなさい。″
で、結衣はひとしきり、照れてしまった。

その日、結衣のシフトは早番だった。

早朝6時から14時まで、というシフトで、夜番から日勤の繋ぎのような当番である。

そうは言っても、なかなかその時間には帰れないもので、16時まで残って、いろいろやっていたところ、早く帰れと上司に言われてしまった。
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