声と性癖
18.ダメって燃えるの?
「でも、感じやすい結衣さんは、難しいかな?」

低く耳元に囁かれるのが弱いと知っていて、息を吹き込むように囁いておいて、んっ……と結衣が声を漏らすと、しーと言って笑う。
だって、絶対絶対無理だよー。

腕を口元にあてて、結衣はすでに半泣きだ。
涼真はそれを楽しそうに見ている。
そして、指で結衣の頬を撫でた。

「む、無理……かも……」
「じゃあ、ほら、こうして?」
涼真は結衣をうつ伏せにした。

「枕ぎゅってしてたら、声出ないでしょ?」
結衣は言われた通り、枕をぎゅっと抱きしめる。
「一度、思い切り背中を愛撫してみたかったんだよね。」
「え?」
「ん?なんでもないですよ。ほら、枕。」
すごーく、嬉しそうなのはなぜなのだろうか……。

するっと、寝間着を脱がされた。
「結衣さん……キレイ。」
低くて、甘い声。柔らかく耳をくすぐる。

首元の髪を避ける指の感触すら、枕に顔を埋めている結衣には見えなくて、ぴくんと身体が動いてしまうのに。
背中をすうっと、指で辿られる。
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