声と性癖
ふわりと距離が近づいて、唇が重なった。
ちゅ……と何度も音がする。
唇だけのキス。
けれどそれだけでも、すごくすごく気持ちいい。

まだ立ったままで、二人とも着衣は全く乱れていないのに雰囲気が甘くて、結衣はくらくらする。
涼真は片腕に結衣をしっかり抱いて、別の手でするすると結衣の身体のラインをなぞる。

「綺麗なワンピースですね。」
優しい柔らかい声。
「……っあ、いちお、前に立つからって思って……」

「あんなにたくさんの目にあなたが晒されて、誇らしい気持ちと嫉妬で、頭がおかしくなるかと思いました。」

「涼真さん、研修ですよ?」
「それでもです。」
涼真の指が胸元を引っかく。
下着も服も着ているのに、その指の動きを感じて身体がきゅんとする。

「……ん……」
結衣からは鼻にかかったような声が漏れてしまう。

「でも、あなたのこんな姿は僕しか見れない。僕だけのものです。ね、その声いいですよ。それにすごく感じている顔していますね。可愛い。」
可愛いなんて言われたら、それに感じてる顔って……。
つい涼真の腕の中で、結衣はその顔を見つめる。
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