声と性癖
下げていた頭をふと上げると、冷たく整っていた表情が柔らかく微笑んで、結衣を見ている。
印象が悪くない、と北条が言っていたのは、本当のようだ。

それを見て、結衣は少し安心する。

「先日の対応の件で、蓮根先生は高槻さんにすごく感謝されてて。対応良かったって。
蓮根先生、彼女はもともと、査定にいた人で僕もお世話になっていた人でした。この人の対応なら納得です。」

2人を引き合せると、ちょっと、あっちの査定の方に少しお話しがあるので、と北条は行ってしまう。

おいーー。重要客先…放置なの…?
結衣はその場に残されてしまった。
困った様子の結衣を見て、蓮根がふっと、笑う。

「高槻さん……?」
「はい!」
「一杯だけ、いかがですか?」
「お願いします。」

整いすぎとも言えるその顔立ちは、冷たそうな雰囲気にも見えるのに、先程から結衣を見る目だけが……むしろ、熱心?

席についた時とは、少し雰囲気が違う。
最初は冷たいくらいだったのに、今はなんだか妖艶さがあるような。
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