ずっと気づかなかっただけ。


「で。今に至ると。」

なっちゃんの腕の中で何度も頷く。

あのあと思いっきり走って、

チカくんを初めて撒いたかもしれない。

その勢いで今日打ち上げするって言ってたカラオケに突撃して、

仲間に入れてもらった。

なっちゃんを見た途端、

我慢の糸が切れて今に至る。

「…痴話喧嘩に毎回巻き込まれるの?私。」

「痴話喧嘩じゃない!なっちゃんも冷たいっ、たい…なんでもない、ごめんなさい。」

いつも通り太一に助けを求めようと抱きつこうとして、

止める。

それは、ダメ。

太一の気持ちに気付いてしまったからには、

太一にもチカくんにも失礼だ。

「まぁ、巻き込んでくれていいけどさ。真白の味方だし。」

「な、なっちゃん〜っ!」

改めて抱きつく。

なっちゃんはよしよししてくれながらため息をつく。

「…でも千景先輩の言い分はわかると言うか…千景先輩は正しいというか…」

「…わかってる、チカくんのいうことはいつだって正しいし、私のためって。でも、チカくん、『あんなの』って言った、私にとっては浮かれるくらい大事なことだったのに…」

「…俺は大事にする。」

太一がなっちゃんの腕の中でピーピーなく私の髪を掬いながらいう。

っ、

「…ややこしくしないで。」

「まぁまぁ夏海ちゃん、太一にとってはチャンスなんだから。」

太一だけじゃなくてタケくんまで話に加わって途端に恥ずかしくなる。

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