ハロウィンの奇蹟
「儂がここで待ち合わせなんて言わんかったら…あの人を、幸子さんを――幸せにしてやれたのかもしれん」


 一歩一歩、ゆっくりと進みお爺さんの隣に並ぶと幸子さんはゆっくりと腰を下ろした。


「すまんかった。来るのもこんなに遅くなってしもうた」


 お爺さんのその言葉に幸子さんの瞳から透明な雫が溢れアスファルトの上に落ちる。

 ただただ綺麗なそれに私はもう何も言えず二人の背中を見守るだけだった。


 ややあって、お爺さんの言葉が切れるのを見計らって幸子さんの唇が動いた。
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