ハロウィンの奇蹟
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 さっきまでのオレンジ色の空は東から忍び寄る夜色に塗り替えられ西の空の一角を残すだけとなっていた。

 薄い夜空に一番星が小さく煌めく。

 それに加えて道路脇に点在する街灯が1つ2つと点き始めると町の様相はいよいよ夜のものへと変り始めていた。 


 人工の明かりで賑やかになる町角で私とお爺さんは別れの時を迎えていた。


「じゃあの、お嬢ちゃん。助かったよ」


 そう言ってお爺さんは最初に会った時と同じく人好きする笑顔で挨拶をしてくれた。

 私はその言葉にいえいえと返す。

 だってこんなに幸せそうな顔、見せてもらえたし。


「…待ち合わせ、会えました?」

「ああ、会えた気がするよ」


 私の質問にお爺さんは曖昧な言葉で答えながらも確信をもった声色で答える。

 その顔から満足と幸せがうかがえた。
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