コイノヨカン
キイィッ。
車のブレーキ音。

「ああっ」
と思ったときには、すぐそこまで車が来ていた。

ひかれると思った。
道路に飛び出してしまった自分の行動が、交通事故を招いてしまったと。
しかし、
私は体ごと引き寄せられ、歩道に戻った。

がっしりと、抱きしめられた私。
抱きしめているのは・・・専務。
一体何が・・・

「馬鹿野郎!」
急ブレーキを踏んだ運転手の罵声が飛ぶ。

放心状態の私を抱えたまま、
「すみません」
専務が頭を下げた。

どうやら、酔っ払って道路に飛び出してしまったらしい。
そこを止めてくれたのが専務。
やっと状況を理解した私は、顔を上げる。
すると、鬼のような表情で私を睨む専務と目が合った。

「お前は死にたいのかっ」
大きな声で怒鳴られた。

「ごめんなさい」

「謝るくらいならするな」

はい。その通りです。

そのまま、私は道端で叱られた。
後先を考えない行動を、自分でも反省した。
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