警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

やっぱり感じ悪いあの人!

別にあなたに可愛いなんて思われたいわけじゃない。

美山さん達とあんなにベタベタしちゃってさ。

そりゃ酔った女の子達は可愛いでしょうよ。

実際本当に酔ってるかなんて怪しいけど、甘えてこられて悪い気なんてしないでしょ。

にこにこ可愛く笑いながら会話して、ちゃんと男の人を立ててあげて。

足早に離れて少しだけ後ろを振り返ると、キヨを抱えた天野さんの周りは美山さん達女性社員と、彼女たちと二次会に行きたい男性社員で囲まれていた。

ふと、こちらを見た美山さんと目が合う。

勝ち誇ったように微笑んだ彼女を見て、すぐに前を向いて歩き出した。


きっと……ただのスキンシップ。

あのキスを特別なことに感じたのは私だけ。

頭を振って、足を駅に向けて動かし始める。

褒めるって“頑張ったな”って優しく笑ってくれたり、頭をぽんぽんしたり、そういうのをしてくれるのかと思った。

役に立ったというのなら、松本さんやキヨが言ってくれたように、これからも補佐を頼んでくれたら、なんて期待もしてた。

でもその期待ももう終わり。月曜日には庶務課に戻る。

触れるだけのキス。押し当てられた唇はずっと外にいたのに思いのほかあたたかくて……。

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