警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

「今後会社にもこんな感じで行きますから。くちゃくちゃにするのやめてくださいね」

変な言いがかりを付けられないようにと会社には基本シンプルなヘアメイクで出勤していたので、髪型はいつもひとつで縛ってばかりだった。

すぐに結び直せていたからよかったものの、今後は控えてもらわないと。

そう思っての発言だったけど、今度はなぜか天野さんが顔を顰める。

「会社にこの感じで来んの? 化粧も?」
「……いけませんか?」

そこまで派手ではないし、会社にそぐわない程手の込んだヘアアレンジでもない。

それとも、やっぱりどこか変なのだろうか。

「お前が気にしないように吹っ切っても俺が気になる」
「はい?」
「……可愛すぎるのも考えもんだな」

ため息をつきながら言われた言葉に、ぶわっと身体が燃えるように熱くなった。

車は高速に乗ってどんどん南へと走る。許可をもらって窓を開けると、少しだけ香る潮のにおい。雑誌やテレビでよく見る風景が見えてきて、信号の上にある青い看板で確信した。

「横浜?」
「内緒」

内緒も何ももう着いてるじゃんと思うのに、なんだか楽しそうな天野さんを見たらツッコミも入れられない。

下道を少し走らせたところにある、昔の洋館のような建物の裏手で車が停まる。

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