DEAR again〜アイスクリスタルのやくそく
DEAR again
 浜野由梨絵の長い話が終わった。言葉を失ったまま、わたしは彼女の顔を見つめた。

 童話は創作ではなかったというの。まさかそんなこと信じられない。それに・・・。

「何を見たんですか」
「何をって?」
「流星群が降り注いだ夜に、クリスマスの夜に、いったい何を見たんですか」

 優雅な動作でコーヒーカップを傾けながら、先生は優しく微笑んだ。

「空から降りてきたまばゆい青の輝き。白い肌と青い目の、天使のような幼い女の子。そして幼い男の子」
「男の子ですか?」
「ええ。そう。尾崎之彦は子供に戻っちゃった。彼がその不思議な女の子に初めて出会った頃の姿にね。長い年月の末に再会を果たした小さな恋人たちは、仲良く手を繋いで青い光の中に消えた」

 無理だ。やっぱり信じられない。信じられるはずがない。信じたくてもわたしの頭が理解を拒否している。その思いを察したかのように、先生は、ちょっと待っててと、隣の部屋に消えた。そして戻った彼女の手には小さな箱があった。
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