【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 夫婦の寝室は偽りであっても一緒だ。おおきなキングサイズのベッドに。夫婦二人、並んで寝ている。
 
 もちろん、結婚したから夫婦の営みだってある。彼から求めてきた時は、その合図だ。もちろん好きな相手ではないけど、夫婦としてみるなら、彼とベッドの中で愛し合う行為は普通のことだ。

 その普通は、わたしたちにとっては普通じゃないけど。だって愛し合ってる訳じゃない。

 そんなこんな考えているうちに、彼がお風呂から出てきた。濡れた髪をタオルで拭いている。でもその程よい筋肉のついた体、目の横に付いているホクロ。ぷるっとした唇。

 すらっとした体と長身の彼は、わたしと身長差が20cmもちがう。身長差があるけど、たしかに顔はカッコイイなと思う。

 彼の左手の薬指に付いたそのキラリと光るその結婚指輪が、わたしたちが夫婦だと物語っている証。わたしの左手の薬指にも、同じデザインの結婚指輪がついている。

 彼もわたしも、お互い夫婦になっても何も変わらない。



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