【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
朝ご飯を食べた後は、車に乗り込み、早速会社へと向かった。お父様は午前中手術がある。だけど手術の前にやっておきたいことがあるからと棗さんは言っていた。
わたしは秘書として棗さんに同行した。棗さんは最初、会社へ向かった後に一度社長室で自分の予定を確認していた。……その姿はとても凛々しくて、本当に社長になったんだと実感している。
棗さんの仕事をするスタイルはとてもかっこよくて……。つい見惚れてしまいそうになる。
棗さんと一緒に仕事が出来るのは嬉しいし、何よりも棗さんのそばにいれることが嬉しい。妻としてでなく、こうして仕事でも一緒に働けることは、わたしにとっても誇りになる。……棗さんの仕事をする姿勢はとても素晴らしい。その姿勢は、お父様の姿勢に少しだけ似ているような気がした。
「……棗さん、いえ、棗社長。そろそろお時間です。参りましょう」
仕事上わたしは、棗さんのことを社長と呼ばないとならないけど、なかなかその呼び方に慣れない。