偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─


凪紗の寝室を出てすぐ、俺はデスクに戻り、乱雑にチェアーへ腰を落とした。
毒気にあてられたかのごとく呼吸が荒くなっていく。それを収めるために、デスクに肘をつき、組んだ手の上に額を落とす。

「ハァ、ハァ」

落ち着け。ペースを乱されるな。

深呼吸を重ねてどうにか収まり、俺は体を起こして背もたれに寄りかかる。
前髪をかき上げ、凪紗の言っていたあの日を思い出し、大きく息をついた。


◆ ◆ ◆


付き合って半年のあの日。
俺はほんの出来心で、「俺が本当は、凪紗のことを好きじゃなかったら、どうする?」と聞いていた。
言った瞬間に、〝しまった〟と思った。

「え……? 好きじゃ、ないんですか……?」

凪紗は絶望を露わにした表情に変わる。
俺はとっさに「ごめん」とつぶやき、「泣くなよ。嘘に決まってるだろ。好きだよ」と訂正した。
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