偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「残念だったな。今までの俺はすべて嘘だ」
振り切るように手を離し、凪紗の頭はドサッとベッドに落ちる。
「今さら俺を嫌いになっても遅い。最後まで協力してもらうからな」
言い残して部屋を出て行こうとする背後で、凪紗がベッドに崩れ落ちたまま「そんなの」とつぶやく。
俺は足を止め、怪訝な顔で「なにか言ったか?」と振り返った。
凪紗はゆらりと体を起こした。
「嫌いになんて、なりません」
「……は?」
「冬哉さん、昔、私に聞いたことがありますよね。『俺が凪紗のことを好きじゃなかったら、どうする?』って」
俺は押し黙った。
覚えている。付き合いを始めて半年経ったころのやりとりだ。それが今さらなんだって言うんだ?
「あの後、私はその質問に答えましたよね。あのとき言ったことがすべてです。今も変わっていません」
それを聞いた俺は、まるで首を絞められたような息苦しさを感じ、次の瞬間には「バタン!」と大きな音を立て、衝動的に部屋から逃げ出した。