偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
ブュッフェでスクランブルエッグとベーコン、温野菜をプレートに盛り合わせ、小皿にクロワッサンとフレンチトーストを乗せた。
フォークで少しずつ手をつけながら、ちらりと冬哉さんを盗み見る。
……一週間、こうやって私と生活する気なのかな。
お腹の子のこととか、これからどうするかとか、興味ないのだろうか。
まだ私には人質だという実感が湧いていない。今までと人は変わってしまっても、こうして一緒にいられることに安心してしまっている。
「……冬哉さん」
「なんだ」
上品にフォークを扱いながら、冬哉さんは料理に目を落としたまま返事をする。
「もし、おじい様が『はなごころ』の商標権や製法を渡さなかったら、どうするんですか?」
それらと私を交換できなければ、そのときは私と一緒になってくれるということなのだろうか。彼がおじい様に言った『無理強いはしない』という台詞が、希望のように胸に残っている。