偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「アキトくん……ありがとう」

「それに、奴はよく考えてる。たしかに妊娠が絡めばたとえ凪紗を連れ戻したところで解決しないからな。奴のことを調べてはいるが一週間じゃ全然足りない。……今は、なんとか『はなごころ』を渡さずに凪紗を取り戻す方法がないか考えるしかない」

そっか。金森家は、交換条件には応じないつもりなんだ。
そりゃそうだよね……。

私も金森製菓を大切に思ってるし、『はなごころ』が大好き。おじい様が創業時に一生懸命作ったものなんだし、誰かに奪われることなんて望まない。
それに、交換に応じないうちは、おそらく私は冬哉さんのそばにいられるし。

でも、冬哉さんはどうなるのだろう。どうして『はなごころ』が必要なんだろう。
事情を知りたい……。それがわからないうちは、私はなにも決められない。
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