偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

それでも、冬哉さんが酷いことを言えば言うほど、不思議と私の決意は固くなっていくのだ。なぜかわからない。でも、ここで冬哉さんのそばを離れてはいけない、私だけは信じているべきだという気がしている。

信じた先で裏切られてもいい。酷い目に逢ってもいい。仮に私利私欲だったとしてもそれでいい。
逃げ出して後悔したくない。

「……ねぇ、アキトくん。私がここにいるって、おじい様たちにも言っちゃったの?」

「言ってない。おじい様は激昂して血眼になって探してるけど、まずは凪紗に事情を聞こうと思って俺が単独で来たんだよ。下手に乗り込んで逃げられたら嫌だし、居場所がわかっているなら今はいい」

やわらかい口調に戻ったアキトくんに安堵し、思わず潤んだ瞳を向けた。
アキトくんは昔から、私の話をよく聞いてくれる。厳しいし正直だが、一番の理解者だ。
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