偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
嘘。体を繋げたと思ったのは、私の勘違い?
まさかこんなに覗き込まれながら白状することになるとは思わず、さっさと言っておけばよかった……と後悔に苛まれながら、私は大人しくうなずいた。
「……ごめんなさい、嘘をついていました」
一瞬の沈黙の後、父も母も、おじい様も、アキトくんも、心の底から安心したという大きなため息をつき、ヘナヘナと座り込んだ。
心配をかけてしまった。
……でも、わからないことがひとつある。
「冬哉さん。私を妊娠させなければ人質にできなかったのに、どうして途中でやめたんですか……?」
座り込む彼の前にしゃがみ、同じ目線になった。
ぼんやりと私を捉えた彼は、手を握り、自分の頬へと持っていく。その頬は熱くて、優しい感触がする。
「できなかった……。どんなに凪紗を裏切っても、酷い言葉を投げつけても。お前に消えない傷をつけるようなことだけは、俺にはできなかったんだよ」
──ああ。
もう堪えきれず、彼を抱き締めていた。
「冬哉さん……!」
「ごめん。お前を追い詰めて、嘘をつかせた。そうするしかなかった。……俺のために酷い嘘をつかせて、本当にごめん」
やっぱり、冬哉さんは優しい人だ。あなたは初めからなにも、嘘をついていなかったんだから。