偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「フン。やっとわかったか。凪紗の相手はこちらで決めるわい」

「一応お聞きしますが、どのような条件なら認めていただけるのでしょうか」

そうか、条件を聞き出してどうにか納得させる戦略ね。重苦しい気持ちが期待に変わる。

しかし今度こそおじい様が立ち上がり、白髪の眉毛がかかった目をつり上げて怒鳴った。

「条件などないわい! 貴様のすべてが気に食わん! 信用ならん顔をしとる! 大工も、八雲なんていう気取った名前も、その目つきも!」

さすがに父と母が「失礼なことを言わないでください!」と口を挟んで諌めるが、おじい様は止まらない。

「貴様にだけは凪紗はやらん! なにが起ころうともな!」

ハァ、ハァという息とともにおじい様は興奮を逃がし、冬哉さんを睨み付けている。
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