偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
不安なことはたくさんある。しかし、どれだけ悩んだところで、冬哉さんの奥さんになって彼の赤ちゃんを産みたいという夢は変わらないだろう。
遅いか早いかの話。タイミングの問題だけだ。
今まで交際を秘密にして、夜も会わずに様子を見ていたのは、すべて金森家のためだった。しかしもう、おじい様を説得できないのなら、待ったところでしかたがない。
私たちのタイミングでこれからを決めていいはずだ。冬哉さんは、引き裂かれる前の今しかないって考えている。私も、そう思う。
……でも、怖い。初体験も、妊娠も。
いきなりそんなことになる覚悟ができていなかった。未知の世界への戸惑いで、私の首は縦には動かず、固まっている。
「どうするかは凪紗にまかせるよ。ただ、俺からひとつだけ、いい?」
悩みすぎて意識がどこかへ行っていた私を、彼は芯のある声で引き戻す。
「は、はい」
「今できないなら、俺は凪紗をあきらめる」
「……え?」
「反対され続けている俺の拠りどころは凪紗だけだ。きみにも拒否をされるなら、俺は金森家から手を引く。……さあ、どうする? 決めて。凪紗」