偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「初めてのことで混乱したんだろ。いきなりこんなところに連れ込まれて襲われたんだから、当然だ」
「そんな。襲われてませんってば……」
冗談を言われて少し落ち着きを取り戻し、体を起こしてみる。背中を支えてもらうといつもの安心感に包まれた。
冬哉さんを遠くに感じるこの感覚は、緊張状態にあった私の勘違いだったのかな、と思い直し、不穏な胸の音は弱まっていった。
「もう少し休んだら家に送り届けるよ。俺とは別れたと、凪紗から家族に説明できる?」
いったん別れたふりをするという計画だもんね。がんばらないと。
「……は、はい」
「それじゃあその後、妊娠していたら連絡して。検査の仕方はわかるか?」
「えっ? あ、えっと……はい」
検査のキットが薬局に売っているはず。でも、できれば検査するときも一緒にいてほしかったんだけど……。
「していなかったら、俺たちは今日で最後だ」
──え?