偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

掛け布団の中で、こっそりお腹に触れてみる。ここは冬哉さんのものだという証で満たされているのだろう。赤ちゃんができるかもしれない。

未来へ繋がる、第一歩。金森家の掟を破った、記念すべき日だ。

「……凪紗。泣いてるのか」

頬に触れられ、中指で目尻をなぞられる。バレてしまった。

涙をこらえて笑顔を見せたかったのに、いろいろな感情が入り乱れた私の心は叫び声をあげていた。
どうしてこんなに涙が出てくるの。

「ごめん、なさい……すごく素敵な時間だったんです……気持ちよくて、冬哉さんは格好よくて……たくさん触れてもらって、うれしかったんです、けど……」

体に残るこの感覚が、冬哉さんの〝愛〟だという確信が持てなかった。

必要に迫られた手段だったからだろうか。

触れて、重なって、繋がるたび、彼を遠く感じたのだ。
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