偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
◇ ◇ ◇
自宅に到着し、冬哉さんは庭の隅に車を停めた。
ガレージにはおじい様の高級車が停まっており、運転手さんが居眠りしているのが見える。
この距離からでも、すでに家の中で大騒ぎをするおじい様の声が聞こえていた。
「八雲はまだか! 性懲りもなく凪紗を連れ回しおって。なんと言おうと交際は許さんと、今度こそわからせてやる」
「お義父さん、今度はきちんとふたりの話を聞きましょう。そう約束したじゃないですか」
「聞いたところで結論は変わらん!」
玄関の前まで来ると、それは顕著になる。予想通りの父とおじい様の言い合いに、私は深呼吸をした。
今度は負けない。私のために強行手段に出てくれた冬哉さんを二度と手離さないと決めたのだ。
それに、私たちにはもう、誰にも邪魔できない絆がある。希望と不安をひっくるめたお腹の奥の存在を、心強く感じた。大丈夫、大丈夫。