偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「冬哉さん……?」
私の体も留まり、おじい様が繋がれた私たちの手に眉根を寄せ、おそらくなにか文句を言おうと「おい」と口を開く。
しかし、冬哉さんが先に──
「なにか思い違いをしているようだが、話し合うことは、なにもない」
──と、言い放った。
別人の声かと思った。頭が真っ白になる。しかし、横顔は彼で間違いない。
「……なんだと?」
おじい様も、眉間にさらに深い溝をいくつも作り、睨み返す。父と母も、固まっている。
彼の側にいるものの、私にもわからない。冬哉さん、どうするもりなの?
彼の豹変した口調と同じ、鋭くなったまなざしはまっすぐ、おじい様へと向いている。いつも優しい言葉を紡ぐはずの唇が不穏に動き、聞いたことのない、ひどく冷たい声で告げる。
「アンタの孫娘を孕ませた」
──え? なに、それ。
それは私の予想していた報告の言葉と、まるで違っていた。
場の空気は一瞬にして張り詰め、すぐにおじい様が「なんだと!?」と叫び声を上げ、父と母も「えぇ!?」と顔を見合わせて取り乱し、やがてふたりも怒りの混じった困惑の表情へと変わっていく。
私は、すぐには頭が整理できず、呆然とする。