偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「……貴様、今なんと言った」
突発的な感情を封じ込め、噛み締めるように言葉を紡ぐおじい様の様子を、初めて見た。跳ね退けるのではなく、深刻な怒りを腹の中で煮詰めている。
冬哉さんが返答する前に、父が「凪紗、本当なのか」と私に確認をとる。どう答えたらいいのだろう。私はなにも言えず、ただうなずいた。
すると父は頭を抱え、「八雲くん……どういうことなんだ……」と苦しそうにつぶやくが、冬哉さんは無視をして、話を進める。
「凪紗も合意の上だ。父親は俺で間違いない。金森家が認めようと認めまいと、凪紗には産む意志があり、俺には認知する意志がある。父親である俺を、もはや誰も引き離すことはできない」