政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
聞いているはずがないと知りながら、話したくて口を開く。
「明日、モンタニアさんのところでパクリ疑惑の弁明をしにいくんだ。でも、La seule fleurの担当さんがなかなか曲者みたいでね。もしかしたらうまくいかないかもしれない」
きゅ、と唇を引き結ぶ。秋瀬くんが起きて聞いてくれていたら、どんなふうに返しただろう。きっと大丈夫だと言っただろうか。
「あのね」
声が震えた。今日までずっと秋瀬くんとまともに話せなかった非日常が、思っていた以上に私を心細くさせる。
「もしうまくいかなくて泣いても、放っておいてね」
秋瀬くんに優しくされるのはつらい。以前はライバルの情けは受けたくないという気持ちが強かったのに、今は違った。