政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 コンコン、と会議室のドアを叩く音が聞こえ、私も含めた全員が一斉にそちらを見る。モンタニアの社員に案内されたらしく、中に入ってきたその人を見て泣きそうになった。

「株式会社イリスの和泉秋瀬と申します。到着が遅れて申し訳ありません。いろいろと証拠を用意するのに手間取りまして」

 え、と合田さんが小さく声を上げる。まさかここで援軍が来るとは思いもしていなかったのだろう。

 普段とは違う固い口調で言った秋瀬くんはそっと私の隣に立った。

 見上げた私に、「大丈夫だ」とでも言いたげな視線を向けてくる。本当に一瞬だけ緩んだ眼差しを受けて、自分がどれだけ心細かったのかを思い知らされた。

「まず、こちらをご覧いただけますか。以前、合田さんが関わった他社さんの案件で起きた問題になります」

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