政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 そうして頼んだのは、スパークリングのロゼワイン。グラスに注がれたそれはピンク色に色付いて、キラキラと泡を弾けさせた。

 好きなものを頼めばいいのに、秋瀬くんも私と同じものを選ぶ。

 今まで恋人同士の『お揃い』をあまり理解できなかった私が、初めて『同じもの』を共有するうれしさを知った瞬間だった。

「それじゃあ、今日までお疲れ様」

「うん、秋瀬くんも。乾杯」

 グラスのふちをそっと合わせ、しゅわしゅわと爽快感のあるワインを喉に流す。

 ふわっと香ったそれは、なんだかひどく特別な味に感じられた。秋瀬くんとふたりでいるせいかもしれない。

「普通はこういうお店って、仕事のお疲れ様会じゃなくて記念日とかに来そうだよね」

「その方がよかったか?」

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