政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています

 信じていいと言うなら信じよう。謝罪よりも言い訳よりも、まず「信じてほしい」というひと言が欲しかったのかもしれない。

 秋瀬くんは屈んだまま私から目を逸らさずに、ほんのちょっとだけはにかんだ。

「君のそういう、まっすぐなところがたまらなく好きだ。抱き締めてもいいか?」

「会社だからだめ」

「聞く前にやればよかった」

 くくっと笑ったそのすぐあとに抱き締められ、全身が秋瀬くんのぬくもりに包み込まれた。

 ここはまだ会議室の外で、いつ誰が中から出てくるかわからない。こんなところを見られたら、なにをしているのかと咎められるのはわかりきっているのに、私からも広い背中に腕を回してしまった。

「俺のこと、嫌いにならないでほしい」

< 168 / 342 >

この作品をシェア

pagetop