政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 ぽつりと落ちた声があまりにも切実で、この人の不器用さを突きつけられた気がした。あんなに馴れ馴れしく触れてきたくせに、愛しているのひと言も言えなかった私の旦那さま。そんなに好きなら、もっと早くすべてをさらけ出してくれればよかったのだ。私が秋瀬くんにそうしてしまったように。

 うん、とも、嫌だ、とも言いたくはなくて、私たちらしく返しておく。

「離婚届の用意はしておくね」

「絶対書かせないからな」

 秋瀬くんも即答して乗ってきてくれた。

 やっぱり私たちはこれがいい。疑うのは疲れるし、ケンカも仕事だけで充分だ。

「家族での話し合いで、全部言わなきゃ許さないから」

「のろける準備はしておくよ」

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