政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 指の間から覗く頬と、隠し切れていない耳が真っ赤になっている。秋瀬くんでもこんなに照れることがあるのだと他人事のように思った。

「たまたま正親さんと話す機会があって、そこで君の政略結婚について教えてもらった。よくわからない男にくれてやるぐらいなら、俺が結婚したいと思って……あとは知ってるだろ」

 たぶん、そのすぐあとに父は私を秋瀬くんと引き合わせた。ご丁寧に婚姻届まで用意していたのは、結婚の話を出した直後にいきなり娘をくれと言われたからだろうか。

 私はずっと思い違いをしていたようだ。父は秋瀬くんのデザインに惚れ、次期社長にふさわしいと思ったから声をかけたのではなかったのだ。

「待て、結婚だと?」

 またガタッと音がした。泰時さんが机に手をついた音だ。

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